登山道などの足場の悪い不整地を、快適に歩けるように作られたトレッキングシューズ。
トレッキングシューズの役割は大きく2つ
- 足を保護する
- 快適に歩く
でも、トレッキングシューズのタイプは
- 低山ハイク向け
- 岩場向け
- 冬季向け
などなど、用途に応じてスペックが異なり選ぶのも大変
特に初心者の方は、はじめの一足はどんなトレッキングシューズを選んでいいのか迷ってしまうはず。
実際、筆者も初心者の頃はトレッキングシューズの選び方がわからず、サイズが合わなかったり、路面との相性が悪かったりと、数々の失敗を繰り返しました。
ということで、本記事ではそんな初心者の方に向けて、はじめてのトレッキングシューズのおすすめをご紹介。
最後まで読んで頂ければ自分にピッタリの一足を見つけることができるはずです!
初心者向けトレッキングシューズの選び方
初心者の方に向けて、トレッキングシューズの選び方のコツを解説します。
基本的に自分の失敗から得た教訓なのですが、
足にフィットする登山靴を選ぶ【最重要】
トレッキングシューズを選ぶときに、これがいちばん大事な要素です。
ついつい、デザインや価格、ブランドなどで靴選びをしたくなりますが、どんなに高いトレッキングシューズでも足に合わなければ、無駄な買い物になってしまいます。
トレッキングシューズの多くは足を保護するために、アッパー部分やトゥ部分が硬めに作られています。なので、足の形に合わない靴を長時間履き続けると、足が痛く履き続けることが困難になります。
なので、トレッキングシューズはフィット感を最重要視して選びます。
これは足の縦の長さのサイズだけではなく、甲周りのサイズ(ワイズ)も同様です。
トレッキングシューズのフィッティングするときの手順は、
- 登山で使う厚手のソックスを履く
- 靴に足を入れてかかとをしっかりと合わせる
- 紐ひもを先端から足にフィットするようにしめる(緩すぎず、きつすぎず)
- 靴内部でつま先と側面に当たるところが無いかチェック
もし、サイズが少し大きいか少し小さいかのどちらかで迷ったら、「少し大きい」方を選びましょう。ソックスやインソールなどで調整可能です。
防水性のあるトレッキングシューズを選ぶ
登山靴の防水性も非常に大事。
というのも雨などで足が濡れると、冷えて不快になるばかりではなく、靴ズレやマメの原因になります。不要な足のトラブルを避けるためにも、防水のしっかりとしたトレッキングシューズを選ぶ必要があります。
防水性のあるトレッキングシューズとは、ゴアテックスやそれと同等の機能を持った「防水透湿性素材」が内蔵されています。
靴のタグやスペックを調べて、どのような「防水素材」が使われているか確認すると安心です。
トレッキングシューズのソールの硬さに悩んだら【やや硬い】のものを
トレッキングシューズの靴底の硬さは、柔らかいものから硬いものまでいろいろとあります。
その人の技量や持つ荷物の重たさ、登る山の標高差や難易度などで、ソールの硬さを選び分けることができればベストです。
しかし初めてのトレッキングシューズ選びにそこまで要求されても無理な話。なので、判断に迷うならば硬すぎず柔らかすぎずのやや硬めのソールを選ぶと良いです。
初めてならミドルカットのトレッキングシューズがおすすめ
トレッキングシューズの足首の高さは「ローカット・ミドルカット・ハイカット」に分かれています。
そして、初心者のトレッキングシューズ選びならミドルカットがおすすめです。
理由は、足首を適度にサポートしてくれ、歩行中によく起こる「捻挫」を防ぐとともに、日帰りのハイキングから、ある程度の高低差のある山まで対応が可能だからです。
よりステップアップするならば、ハイカットの重登山靴でテント泊や、ローカットのトレイルシューズでスピードハイクなどもいいでしょう。
おすすめのハイキング・トレッキングシューズ
それでは、おすすめのハイキング・トレッキングシューズをご紹介します。
それぞれのトレッキングシューズを詳しく見ていきます。
メレル Moab2 Mid GTX
履きやすく、コスパ抜群のハイキングシューズ
メレルのモアブ2 MIDは「ハイキング・キャンプ・野外フェス」など、ライトなアウトドアアクティビティにピッタリのハイキングシューズです。
ハイキングやキャンプにちょうど良いスペックで、手の届きやすい価格なのも魅力です。
アッパー素材には防水透湿性素材のGORE-TEXを内蔵。メッシュと合皮を組み合わせることで、強度を保ちつつ、透湿性も確保しています。
見た目のゴツさとは裏腹に、履き心地はとてもマイルドな印象。内部にはクッション材を多用し、優しく足を包みこんでくれます。
くるぶし付近までの高さがあるミドルカットで、足も動かしやすいです。
ソールは柔らかく、平坦な道を歩くのに向いている靴です。
アウトソールのラグ(ブロック)も様々な形のものが、多方向に配置されています。
前後左右の動きに対応してくれるソールとなっています。ライトなアウトドアに使いやすい、人気のハイキングシューズです。
メレルのモアブ2ミッドGTXはこちらの記事でもご紹介しています。
メレル Moab Speed Mid GTX
スピードハイクに軽量でグリップ力に優れたシューズ
メレルのモアブ スピード Midは「ハイキング・キャンプ・野外フェス」など、ライトなアウトドアアクティビティにピッタリのハイキングシューズです。
ハイキングシューズとトレイルランニングシューズのハイブリッドをコンセプトにしたシューズは、片足300g台という軽さと高いグリップ力が魅力です。
アウトソールにはグリップ力の高いビブラム社のソールが使用されています。
国内のシューズでは初搭載となる「トラクションラグ」。ラグと呼ばれる、一つ一つの凹凸をよく見ると、サイドの表面にまで、細かな凹凸が施されています。
この細かい凹凸があることで、地面をしっかりとグリップすることができます。
GORE-TEXが内蔵された、アッパー素材は縫い目の少ない作りで、メッシュが多用されています。
縫い目が少ないことで、水が侵入するリスクも低下しています。
靴の内側には非常に厚手でクッション性の高い素材が使われているので、履き心地が素晴らしく良いです。
全体的なフォルムもスマートな印象。
街歩きや旅行などにも使えそうなデザインです。旅行に使えば、旅先でちょっと自然を散策したくなった時に便利かもしれません。
メレルのモアブ スピードミッドはこちらの記事でもブログレビューしています。
ザノースフェイス クレストン ミッド
初心者ハイカーにおすすめのハイキングシューズ
ザノースフェイスのクレストンミッドは、「ハイキング・軽トレッキング」におすすめのシューズ。ソールに適度な硬さを持ち、それでいて歩きやすいので、低山ハイクからトレッキングを始めようという初心者の方におすすめのシューズでもあります。
くるぶしの上あたりまでサポートしてくれるミッドカットタイプなので、足首を保護しつつ、動きやすさもあり初心者の方にはぴったりです。
また、ザノースフェイスオリジナルの防水透湿性素材「フューチャーライト」が内蔵されているので、雨の侵入を防ぎ、靴内部のムレを外部に逃してくれます。
ソールは適度な硬さを持ちながらも、屈曲性もあるので、平坦な道から多少の高低差がある道まで対応できます。ハイキングから軽トレッキングにピッタリのモデルです。
アウトソールはビブラム社製のものを使用。
大小様々なラグ(ブロック)が多方向を向いて配置されています。平坦な道を歩く時の色々な動きに対応できるパターンです。つま先部分にクライミングゾーンはありません。
ザノースフェイスのクレストンミッドはこちらの記事でもブログレビューしています。
ザノースフェイス ヴェルト S3K
岩場の多いルートにおすすめな、3シーズン向けトレッキングシューズ
ザノースフェイス ヴェルト S3Kは岩場を主に歩くような「トレッキング」に向いたシューズです。
頑丈なバリスティックナイロンを多様したアッパーで強度も抜群。
ザノースフェイスオリジナルの防水透湿性素材「フューチャーライト」を使用して雨にもムレにも強い作りです。
アウトソールはビブラム社製。
大きめなラグパターンで、つま先部分にはクライミングゾーンを備えています。岩場でも滑りにくくいため、岩稜帯が続くようなルートにぴったりです。
ソールは硬めの作り。腕の力ではなかなか曲がりません。
重たい荷物を担ぐ1泊縦走登山などにも、足をサポートしてくれるので対応可能です。
ザノースフェイス ヴェルトS3Kはこちらの記事でもブログレビューしています。
キーン ピレニーズ
ハイキングや野外フェスにレザーが映えるアウトドアシューズ
KEENのピレニーズは「ハイキング・軽トレッキング・キャンプ・野外フェス」など、ライトなアウトドア全般におすすめな、レザーが映えるおしゃれなシューズです。
丸みを帯びて、ボテッとした可愛らしいトゥが特徴的ですが、この形状がとても履きやすさの秘密です。靴内部の爪先部分に余裕があり、しっかりと路面を踏みしめることができます。
ソールは適度な硬さもあるので、凹凸のある路面でもバランスが取りやすく、それでいて長くあるき続けても疲れにくい柔らかさもあります。
高低差のないハイキングコースや、3〜4時間程度の軽トレッキングなら十分に使えるスペックです。
オリジナルの防水素材KEEN.DRYとレザーのおかげで、防水性も非常に高く雨の中でも使えます。
付属されている、赤い靴紐に変更することも可能。
コーディネートに合わせて靴ひもを変えられるなんて、なんとも気が利いています。
キーンピレニーズはこちらの記事でもブログレビューしています。
サロモン X Ultra 4 Mid GTX
トレイルランニングで養った技術を投入。捻挫しにくいハイキングシューズ
サロモンのX Ultra 4は、ハイキング・軽トレッキングにおすすめのシューズです。トレイルランニングシューズに定評のある同社の技術を活かし、サポート性、軽量性、グリップ性、そして安全性に配慮したシューズとなっています。
X Ultra 4の注目の機能は疲労と捻挫を防ぐ機能。足の関節をサポートする機能をもたせ、疲労が原因による足の捻挫を抑える効果があります。メンズ・レディースモデル、そしてメンズにはワイドモデルがあり、自分の足に合わせて選ぶことが可能です。
マムート デュカン ハイ
スチールシャンクが足をサポートし、推進力を生む新感覚のトレッキングシューズ
マムートのデュカンはハイカットモデルとミドルカットモデルの両展開。「ハイキング・トレッキング」に対応できるスペックを持ち合わせたシューズです。
ソールに仕込まれた波型のスプリングスチールのシャンクが特徴。
このシャンクが着地時の衝撃をソール全体で受け止め、靴のねじれを抑制して安定感を保ちます。さらに、スチールの反発力で推進力を生み出し、快適な歩行をサポートしてくれます。
アッパーはGORE-TEX内蔵で、メッシュを多様したものを使用。
靴のアッパーと一体となった「タン」で、足全体を包み込みます。
この独特なアッパー形状のおかげもあり、フィット感が高く、足さばきの良いシューズになっています。
アウトソールは大小様々なラグ(ブロック)が多方向を向いているタイプ。様々な歩行への動きに対応しています。
やや硬めのソールながら、フィット感と軽量性、そしてラグパターンなどを見ると、軽快・スピーディーなトレッキングをする人に向いているトレッキングシューズです。
マムートのデュカンハイ GTXはこちらの記事でもご紹介しています。
マムート サプエン ハイ GTX
ハイキングからトレッキングまで使える範囲が広いシューズ
マムート サプエン ハイ GTXもマムートの波型スチールシャンク「フレクストロン」が内蔵されたシューズ。ソールはしっかりとした硬さがありながら、屈曲部は適度に曲がるので、ハイキングからトレッキングまで使える範囲が広いモデルです。
ハイカットタイプながら、立体成型されたアッパーのおかげで、足に吸い付くような履き心地
足首周りのフィット感が特に最高です。
かかと部分だけ独立した、クッション材が足と靴の一体感を高めてくれます。
アウトソールのラグは中サイズのものが、多方向に並んだ形。色々な動きに対応できそうなラグパターンです。
ソールの硬さは、屈曲部は柔らかめながら、その他の部分はしっかりとした硬さがあります。スムーズに足運びができるし、体をしっかり支えてくれる安心感があります。
マムートのサプエンハイ GTXはこちらの記事でもブログレビューしています。
ホカオネオネ SKY KAHA
極上のクッション性で足に優しいトレッキングシューズ
フランスのメーカーホカオネオネのスカイカハは、「ハイキング・軽トレッキング」などにおすすめのシューズです。
なんといっても特徴は極厚なミッドソール。
クッション性が高く、歩行時の足への衝撃を和らげてくれます。長時間の歩行で膝が痛くなりがちな方におすすめできるクッション性の高さです。
アウトソールはビブラム社のメガグリップを採用。非常にグリップ力のある素材なので、地面をしっかりと捉えて安心して歩くことができます。
アッパーには防水透湿性素材に「eVent」を採用。定番のGORE-TEXではありませんが、eVentも人気の防水透湿性素材。防水性も透湿性も問題有りません。
アッパー素材の柔軟性も高く、幅広な足にもフィットしやすいシューズです。
長距離を歩くハイキングや軽トレッキングに非常におすすめのトレッキングシューズです。
ホカオネオネのスカイカハはこちらの記事でもブログレビューしています。
ON クラウドロック
スニーカーのように履きやすく、クッション性の高いハイキングシューズ
オンクラウドロックはランニングシューズ専門メーカーらしく、クッションニングと衝撃吸収の高い「クラウドテック」や、推進力を生み出す「スピードボード」などの同社オリジナルの機能を備えています。
さらに、トレイルでは欠かせないのが、濡れた岩場でも滑らないためのグリップ力。粘着性のある素材を用いたアウトソールの「ミッショングリップ」はしっかりと路面を捉えてくれます。
防水&防風機能を備えたメンブレンを採用しているので、雨の日でも安心。片足重量が400g台とミドルカットタイプのハイキングシューズとしては驚きの軽さです。
一つ一つのラグが着地時に潰れることで、衝撃を吸収。さらに潰れたラグが反発することで、前への推進力に変わります。
また、一つ一つのラグが独立し配置されていることで、あらゆる方向の力に対して足裏のそれぞれの部分で対応することができます。
爪先部分はかなり反り返った形です。歩行時は最後の蹴り出しまで、しっかりと路面を捉えてくれます。
まるでスニーカーのような履き心地なので、軽快に歩けて、キャンプやフェスなど、また街でも使えそうなシューズです。他のハイキングシューズにはない都会的なスマートなデザインもポイントが高いです。
オンクラウドロックはこちらの記事でもブログレビューしています。
Q&A
近くに専門ショップがないときはネット通販でも大丈夫?
ネットで試着ならAmazonのPrime Try Before You Buyが役立ちます
近くに商品の品ぞろえが豊富なアウトドアショップがない場合は、AmazonのPrime Try Before You Buyサービスが役に立ちます。Amazonプライム会員になる必要はありますが、決まった商品を自宅で試着することが可能。気に入ったアイテムをサイズ別で取り寄せて、試着後、必要なものだけ購入することができます。
防水と撥水は同じこと?
トレッキングシューズの防水と撥水は同じではありません
ちなみに、「防水」と「撥水」は意味合いが違います。
- 「防水」は水を通さない機能
- 「撥水」は水を弾く機能
「撥水」は少量の水分なら水を通しませんが、量が多くなると水が浸透してきます。価格の安いシューズには撥水機能のみのものがあり、間違えないようにしたいです。(筆者は初心者の頃、この違いが知らず、安価なシューズで失敗しました)
また、防水スプレーも厳密には撥水スプレーです。スプレーをしても、少量の水分を弾く効果しかないので、水の侵入を防ぐことができません。かならず防水透湿性素材が内蔵されているかを確認しましょう。
硬すぎず、柔らかすぎないソールで低山から始めるのがおすすめ
初心者におすすめのトレッキングシューズは「やや硬めのソール」ですが、言葉で表すと以下の通りです。
- 柔らかすぎるソール
- スニーカーのようにグニャリとは曲がる
- 手で持って、曲げたりねじったりした時に、簡単に曲げられるものは柔らかすぎます
- 硬すぎるソール
- ほぼ曲げられない
- 手で曲げようとしても、ソール部分がほとんど曲がらないものは硬すぎる可能性があります
適度な硬さのソールの中でも、さらに細かく分けるなら
軽いハイキングが中心なら、「柔らかめ」のソール。帰りのトレッキングや小屋泊くらいまでなら「硬めの」ソールを選ぶとさらに最適です。
トレッキングシューズのソールの硬さのメリット・デメリットは?
【硬いソール】のトレッキングシューズのメリット・デメリット
ソールの硬いトレッキングシューズは、アルプスのようなガレ場や岩稜帯などを歩くのに適しています。狭い岩の上でもしっかりと立ち込むことができます。また、縦走登山などの重たい荷物を持つときにも、硬いソールが足の裏の筋肉をサポートしてくれて、疲労軽減に繋がります。
一方、登山口までアスファルト歩きがあるようなところだと、歩きづらく足への負担が大きくなることもあります。なだらかな道が続く軽いハイキングや木道歩きの多い道だと、オーバースペックになる場合もあります。
- 重たい荷物でも疲れにくい
- 岩場の多いところでも安定的
- 狭いところに立ち込める
- 重くなりがち
- 平地が歩きづらい<
【柔らかいソール】のハイキング・トレッキングシューズのメリット・デメリット
柔らかいソールのトレッキングシューズは、アスファルト歩きを含むようなハイキングや、低山の短時間のトレッキングなどに向いています。
ですが、重たい荷物を持つような登山では足裏の筋肉を酷使するので、トレッキングに慣れていないと疲労が増大する可能性があります。
- 比較的軽い
- 平地で歩きやすい
- 重たい荷物は疲れる
- 悪路は疲れる
まとめ
本記事では、ハイキング・トレッキングシューズのおすすめと選び方について解説しました。
特に初心者の方は悩んでしまうシューズ選び。ハイカットやミドルカット、ソールの硬さなど、シューズを選ぶ際に注目すべきポイントなどを押さえれば、自分に最適な一足を探せると思います。
どんなフィールドでも使える万能な一足というのはなかなか難しいです。できれば、フィールドに合わせて、いくつのかトレッキングシューズを使わけるといいですね。